契約・引き渡しで売主側が用意するもの
公開日:2025年02月14日
不動産の購入とは、多くの方にとって生涯のなかで一度あるかないかという重大なイベントです。したがって、不動産の売却においても、経験されていないケースが多くなります。そこで、今回は中古マンションを売却する際の売主の立場になり、契約及び引き渡し時に用意するものや、注意するべきポイントについてのご説明をしたいと思います。
中古マンションの契約時に売主が用意するもの
不動産の売買契約時に、売主が用意するもので代表的なものは以下のとおりです。
(1)「権利証」又は「登記識別情報」 ※(以下、「権利証」など、といいます。)
これらは、当日、相手方や不動産会社に提示するのに使用します。引き渡し当日に、これらの書類を提示しないと引き渡しができません。売主の中には、「権利証」がどの書類のことなのかをよく理解せず、引き渡し当日に「不動産登記簿謄本」などを持参される方がいらっしゃいます。本当に手元に有効な「権利証」などがあるのかを確認をしましょう。
マンションの権利証に関しては少しだけ注意しなければならない点があります。それは「書類の通数」です。通常、不動産の登記は土地と建物に分かれています。土地のみ又は建物のみなら、「権利証」などの通数は「1通」です。戸建住宅なら土地と建物、それぞれ1通ずつで合計「2通」です。
中古マンションの場合は、「1通」の場合、「2通」の場合、どちらもあり得ます。
中古マンションは、区分所有建物といい、「専有部分」「共有部分」と「敷地利用権」から構成されます。さらに、建物の専有部分を所有するために必要な敷地に対する権利を「敷地利用権」といい、これが登記されると「敷地権」と呼ばれます。敷地権が設定されていれば、専有部分を取得することで敷地利用権も同時に取得されます。マンションを売買するときに必要な処理は、専有部分の移転登記のみで済み、土地については登記の手間が省けることになります。これが、「1通」の場合です。
敷地権が設定されているかどうかは専有部分の登記簿謄本の表題部で確認できます。もし敷地権が設定されていない場合には、土地と建物が別々に登記されることになります。これが「2通」の場合です。
(2)印鑑と印鑑証明書
厳密にいえば、契約書自体に押印する印鑑は認印で構いません。しかし、契約日当日、登記申請に関する書類を予め、不動産会社から記載するように求められることがあります。この売主側の登記申請書類に押印する印鑑は、基本的に実印であることに注意します。また、登記申請時に、発行から3か月以内の印鑑証明書が必要になりますが、契約日から引き渡し日の期間が長く開く場合は、期限が切れていたりする場合があるので、こちらも注意が必要です。
(3)固定資産税等納税通知書
引き渡し時に固定資産税・都市計画税を精算するために必要です。
(4)仲介手数料
契約時に一部を支払う旨を媒介契約で定めていている場合に必要です。
(5)収入印紙
契約書に貼付する収入印紙(売買価額により額は異なる)が必要です。事前に不動産会社に確認を取るようにして下さい。
(6)運転免許証
本人確認のために必要です。
引き渡し時に売主が用意するもの
引き渡し時に用意するものは上でご説明した、契約書に貼付する収入印紙以外のすべてが必要になります。なお、買主に交付する領収書に貼付する収入印紙も必要になりますので注意して下さい。
実際に引き渡しを行う場所は、一般的に銀行の一室を借りて行われることが多いです。その理由は、買主側がお金を入金しやすい環境だからです。電信扱いで振り込みを行っても、売主指定の口座で入金確認ができるまでは1時間~2時間かかります。入金確認後に売主もそのお金を振り出す必要があることが多いと思いますので、銀行通帳と銀行印も持参するようにしましょう。余裕のある場合は、司法書士へ支払うお金や不動産会社の手数料などは現金で小分けにして用意しておきましょう。
すべて漏れなく準備をするのは大変ですが、しっかり準備をしてスマートな売買ができるようお役立て下さい。