不動産売却と不動産信託

公開日:2025年02月23日

コラム

住居として所有しているものと、住んでいなくとも保有している不動産は固定資産税が発生したり、維持費がかかったりと何かと手がかかります。こういった余計な支出をなくすための手段として、まず売却が思い浮かびあがると思いますが、安易に手放せない方もいるでしょう。そういった場合の選択肢として「不動産信託」があることをご存知でしょうか? 「存在は知っているが、専門的な知識をもっていない」、今回は、そんな方たちのために、不動産信託とはどういうものかをご説明しましょう。

不動産を金融商品として運用を信託するもの

不動産信託は、土地の所有者が土地を信託銀行に管理・運用・売却などを委託することで利益を受けとることです。不動産信託では土地の管理や運用を第三者に委託して利益を受ける所有者を「委託者」「受益者」、委託を受ける銀行などの第三者のことを「受託者」といいます。
例えば、土地の所有者が信託銀行と土地の信託契約を結びます。信託銀行は契約を結んだ土地にビルを建て、テナント収入を得たあとで、所有者に配当を支払います。この際、「委託者」と「受益者」になるのがもともとの土地の所有者、信託銀行が「受託者」となります。また、別の方法として、不動産会社に売却の仲介を委託するように、信託銀行を介して財産の処分を行なうこともできます。

ここまでの説明だと、もともとの所有者は土地の権利を手放すことなく配当を得られるオトクな仕組みと考えがちですが、必ずしもそうではありません。信託契約を行なうことで、不動産だったものが不動産投資信託(REIT)というみなし有価証券(金融商品)になるので、満足に収益を得られなかったり、価値が下落してしまったりといったリスクも抱えてしまうのからです。これは信託銀行を通して財産処分(売却)する場合も同じです。

税金が安くなるほか、配当を得る権利を売るという選択肢も

不動産信託には、さまざまなメリットがあります。ひとつは税金です。不動産の所得税が非課税になり、不動産を売却する時には、登録免許税がより安くなります。その上、所有しているだけでは得ることができない配当をもらうこともできます。また、不動産が信託受託権という権利になるので、売却しやすくなる場合もあるのです。

リスクがある選択なので慎重な決断を

ここまでが、不動産信託の主な概要になります。売買と比較しても複雑で専門的な要素が多くなりますので、利用する際には、景気や社会情勢に左右されやすいというリスクなどを認識して、慎重な決断をすることをおすすめします。一度、専門家である信託銀行のアドバイスを聞いてみるのもいいかもしれません。